会 員 の 本  2009~2002年出版

    
大島真理夫編著 『土地希少化と勤勉革命の比較史』
ミネルヴァ書房、2009年12月、A5版380頁

目次:土地希少化と勤勉革命の比較史 / 要素投入パターンと土地希少化の歴史的位置 /  江戸時代前期における経済発展と資源制約への対応 / 江戸農書にみる「勤勉」と「自然」 /  中国経済史研究に見る土地希少化論の伝統 / ジャワ島における土地希少化とインボリューション論 /  インド史における「土地希少化」 / 「農場」と「小屋」 / 人口圧と農業改革 / 前近代経済成長の二つのパターン
    
高橋英一著 『食べて、食べられてまわる:環境適応と多様性の道をたどる』
研成社、2009年7月、184頁

三十数億年前に生命が誕生して以来、多様化してきた生物は食べものを求め、環境に適用して生きてきた。 一千万種の生物も人も些細な点で多くの相違はあるが、「生まれて、食べて、産んで、死ぬ」ことだけは相違がない。本書は、 「食」という視点で生物の適応と多様化を眺めることで見えてくること、 ヒトによる食料生産が地球上の他の生物と人に何をもたらしているかを探り、考える。
    
有薗正一郎校訂・解題 『江見農書』
あるむ、2009年11月、A5版 77頁

美作国東部の英田(あいだ)郡江見村の人が、1823(文政6)年頃に著作したと考えられる農書の翻刻と現代語訳と解題をおこなった。 この農書は、まず有用樹10種類の植樹要領を記述してから農作物57種類の耕作技術を解説している。このような記述順序の農書は他にないので、 山間の小規模盆地に立地する江見の地域性が読みとれる。
    
清水隆久著 『百万石と一百姓 -学農 村松標左衛門の生涯』
農山漁村文化協会、2009年3月、A5判 616頁

目次:能登の豪農 村松家 / 本草学への取り組み / 「ホシキ本」に見る学問への情熱 / 藩産物方へのかかわり /  見聞録の集大成 / 利民の政治を求めて / 馬療書の編さん-利民の志を牛馬にも- / 百姓生活の総括-家業第一への思い-
    
谷 彌兵衛著 『近世吉野林業史』
思文閣出版、2008年1月、A5版507頁


吉野林業地帯の材木商人の家に生まれ育った著者が、吉野林業の発展過程(生成・発展・変質)を地方史料にもとづいて解明
目次:近世吉野林業史研究の視点 / 借地林業概念とそのイデオロギー的役割 / 吉野地方における育成林業の開始 / 小農型林業の生成  / 小農型林業の発展 / 小農型林業の変質 / 土倉家山林関係文書の実証的研究 / 小農型林業と材木商人 / 小農型林業と材木組合
    
田中耕司編著 『実学としての科学技術』(講座『「帝国」日本の学知』第7巻)
岩波書店、2006年10月、A5版343+56頁

応用科学分野における『学知』はどう展開し、戦後に継承されたのか
目次:実学としての科学技術 / 日本農学の源流・変容・再発見-心土不二の世界へ / 農業技術を創った人たち-昭和の技術者群像 / 植民地経営と農業技術-台湾・南方・満洲 / 宮入貝の物語-日本住血吸虫病と近代目本の植民地医学 / 世界一の長寿社会を達成した近代目本の歩み / 「帝国の衛生」-衛生工学から環境学へ / 音に見る日本の近代-「音楽」の受容「騒音」の排除 / 今西錦司とフィールド科学 / 文献解題・研究資料紹介
    
勝部眞人著 『明治農政と技術革新』
吉川弘文堂、2002年12月、A5版328頁

明治初期、欧米農業と接触した政府は日本農業をどう認識し、どう政策論理を導き出していったのか。生産者農民の主体性という視点から、 彼らの行動と政策展開とのねじれに論究し、明治期日本農業の新たな歴史像を探った。